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ダンガンロンパ他二次創作ブログ。 ごった煮で姉妹とか男女とか愛。 pixivID:6468073
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とうとう、と水の落ちるような音が聞こえていた。とうとう、と。その音はとても近い場所から近いまま聞こえていたので目を開いて横を見る。確かにあれの心臓に丸い穴が開いてそこから得体の知れぬものがとうとうと滝のように流れ落ちていたのだ、と、誰かに言ったところで信じられるはずもないだろうが確かにそうであったので、たぶん、本当だ。その穴を塞ぐ術も持たぬまま、とうとうと流れ落ちる得体の知れぬものが尽きるまで眺めていた、ら、ほどなくそのときは訪れてあれの心臓は空っけつのまま静かにしろく固まってしまった。なるほどこれがそういうことか、と思って、あれの心臓に開いた怖いほど丸い穴にゆっくりからだを捩じ込んで目を閉じる。別のもの、が代わりになるのだと、なぜか信じていた。あれは寂しがりだから、と思ったところで、さっきまで呆れるくらいにここから流れ出していたものの正体に気づく。あれにも情というものはあったらしい。からだが希釈されていくのを感じながら、なるほどこれがそういうことか、と思う。
石丸清多夏というのは概ねそういう少年であった。どうせ多すぎる血の気であるならば多少なりとも減らした方が他人のためだ。などとはよく思う。あれは人の気持ちがわからない。あれにとっての他人は、いなくなっても構わない有象無象か、嫉妬の対象かのどちらかでしかない。空っけつのまましろく固まってしまったあれの心臓の中でごろごろと寝返りを打ちながら、遠くの方で高く低く途切れることのない嗚咽を聴いた。あれにも情というものはあったようだ。いくらかは、あれの思い込みと勘違いと他力本願ではあるのだろう、が。かと言ってなにが悲しいのかを問えば、明後日の方から答えを引っ張ってくるのだ。曰く、「彼が死んで悲しい」などと。穴からぬっと首を突き出して外を見たら、あれの心臓からとうとうと流れ出したものですっかり海の模倣のようになってしまったところにあれが立ってこちらを見上げていた。彼が死んで悲しい、などという顔をして。青ざめた虚ろな顔をして。
石丸清多夏という少年のことならば誰よりもよく知っている。それがおまえの答えなのか、と目で問うと、あれは目を反らした。遠くから嗚咽が聴こえる。石丸清多夏にとって、他人とは有象無象であり嫉妬の対象であり、あとは、恨みと憤りを差し向けるものでしかない。ないはずだ。「彼が死んで悲しい」などと、わかりやすいものでわかりやすくごまかして。違うだろう。違うだろう石丸清多夏。それが理由ではないだろう。たったそれっぽっちの理由で、おまえが、悲しむなんて。からだが希釈されていく。それがおまえの答えなのか。本当にそれで構わないのか。あれは、石丸清多夏は、目を反らしたまま歯を喰いしばる、ように見えた。嗚咽が聴こえる。しろく固まってしまった心臓の嗚咽が聴こえる。泣いているのか。石丸清多夏は首を振る。「僕は自分が憎いのだ」なぜ。「気づいてあげられなかった」なにを悲しむ。なぜ。なにを悔いる。「彼は」「僕の」「たった一人の」

嗚咽が途切れ、心臓は動き出した。とうとうと、とうとう、と。石丸清多夏は遠くを見ている。遠くへ、いってしまったものが、あるという。石丸清多夏はとうとうと泣いている。とうとう、戻ってこなかったものが、あるという。

悲しむふりなどやめろ兄弟。おれの前ではそんなものは無意味だ。










迷宮探索先行部隊死シテ屍拾フ者不有
石田。
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