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ダンガンロンパ他二次創作ブログ。 ごった煮で姉妹とか男女とか愛。 pixivID:6468073
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どう、と倒れた横目で見上げたのは丹塗りというより血塗りの脚絆だった。乾いた地面を力強い脚が踏み抜き、砂ぼこりを巻き上げたと思ったら目玉の煮えるような熱風が吹きつけた。血の気とともに引いてしまった唾液が胃の底でいやにぐらつく。若武者はまるで火の玉のよう、どころか火の玉そのものの風情で、武人と称すにはまだ若すぎるのンどから地鳴りのような声を上げながら突進を続けた。あかい、と思ったのは、若武者が脚絆だけでなく上から下まで火花でも(血膿でも)かむったように赤い装束を着けていたからだ。どういう仕掛けか地獄の釜のごと火を吹くこれまたまッ赤な槍が唸りを上げ、若武者も裂けんばかりに気合いを迸らせると四重五重の人垣が張り子のようにくしゃくしゃと崩れて吹き飛び、そのうち幾つかは火達磨になって倒れた。やがて動かなくなるだろう、と奇妙に冷静であった。
若武者がなにやら怒鳴りながら砂を蹴立てて別のひと群れに向かう頃、ようよう腹の傷が痛み始める。指先が重い、と思った。吹き荒れた熱風があちこちで景色をいがませ、もうじき夏にもなるのだが、背骨に張り付くのは得体の知れない寒さばかりだ。爺が死んだのはいくさ場だったという。婆は息子にも孫にもいくさには出るなと繰り返し繰り返し説いたが、先のいくさでその婆も死んだ。おれも死ぬのか、と思った。いくさ場とは思った以上に狭いものだ、とも。揺らぐほどの熱風に乗って、あの若武者の声がする。そして、たくさんの断末魔。胃の腑の奥からあついものがせり上がってくる。自分だって割れんばかりに叫んでいた。婆の言うことを守りたかった。いくさになどゆきたくはなかった。死にたくない死にたくないしにたくないと。
なのに。
その頃になってようやく火達磨のひとつが動かなくなった。ぶすぶすと燻る皮膚と、開いたままの目。あれは最近所帯を持ったばかりだった。生まれてくる子は男か女か、つい昨日も話していたのに。昨日とはずい分とおい夢の気もする。あの若武者だけでない。爺を婆を死なしたいくさ人もずい分とおい、人というよりあれはけものだ。あんなにはわかるまい。今しにたくないという叫び声だって、誰にも聞かれずに消えていってしまうのだ。血塗りの若武者にはいくさ人の堂々とした死が用意されるに違いないのに。爺も婆もあいつもおれも、なにも言わずに死ぬわけではないのに。
目を開けてもなにもみえない。あの世とはずい分そばにある。あの若武者は知らないだろうが、いまおれの家の裏には(水仙が一ぱいに咲いているのだ)









ある男の最期
ぴっしぶ再録
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